<自殺告げず賃貸>家主の弁護士に賠償命令 地裁尼崎支部

毎日新聞 10月29日(火)7時22分配信

 マンションの一室で自殺があったことを告げずにその部屋を賃貸したのは不法行為だとして、部屋を借りた男性が家主の男性弁護士(兵庫県弁護士会所属)に約144万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、神戸地裁尼崎支部であった。杉浦一輝裁判官は「告知すべき義務があったのに、意図的に告知しなかった」として、弁護士に賃料や慰謝料など約104万円の支払いを命じた。

 判決によると、弁護士は2011年5月2日、兵庫県尼崎市のマンションの一室を競売で取得。従来1人で住んでいた女性が同5日ごろに死亡したが、翌年8月、女性の死を説明せずに男性とこの部屋の賃貸借契約を結んだ。男性は同月末に引っ越したが、近所の住人から自殺の話を聞き、翌日には退去。9月20日に契約解除を通告した。

 裁判で弁護士は「競売後の手続きは他人に任せており、自殺の報告を受けないまま部屋の明け渡し手続きを終えた」と主張したが、杉浦裁判官は「およそあり得ない不自然な経緯というほかない」と退けた。また、女性の遺体を警察官が搬出し、住人らが自殺と認識していたことなどを挙げ、「一般の人でもこの部屋は居住に適さないと考える。部屋には、嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的な欠陥という瑕疵(かし)がある」と判断。女性の死後に弁護士が部屋のリフォームを指示したことから、「部屋の心理的な瑕疵の存在を知らないことはあり得ない」と指摘した。

 弁護士は「判決文を読んでいないので話しようがないが、控訴の方向で検討する」と述べた。【山田毅】


因みに消費者契約法による取り消し(4条1項1号)

事業者が消費者間の契約((=消費者契約)においては、消費者契約法により民法が従来定める以上に消費者の立場が保護され、以下のような場合にも契約の取り消しが認められます。宅建業者の従業者が下記のようなことをすると、契約が取り消されることがあるので十分注意が必要です。

(1)不実告知による取り消し(4条1項1号)

事業者が契約の締結について勧誘するに際し、消費者に対して重要事項について事実と異なることを告げ、消費者がその告げられた内容が事実であると誤認して契約した場合。

消費者は、契約を取り消すことができます。

知っていたのに告げない。調べれば分かった筈なのに調べない。今まさに先週の宅建業者法定研修会の「宅地建物取引と消費者契約法」の話題ですね。取引は慎重な上にも慎重にという戒めかな。

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